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2011年05月18日

大山の女は恐いよ

 お天気のせいか、アヒル場には、来客が多かった。
「アヒルはまだうまれないねぇ」と、公民館帰りのオバアたち。婦人会なのか、老人会なのか、とにかく、近くの公民館で琉球舞踊の練習をしているとか。メンバーの中に喘息で悩んでいるバァちゃんいて、「アヒルが身体にいい」と、皆さん口をそろえる。
「でも、殺せないので、、、」と、私は必死に首を横にふる。
「そうよ、こんなに可愛がっているのに」と、一人のオバアちゃんが支援してくれたので、皆さん、そうそう、と笑い声を残しお帰りなられた。
 その時だった。四十半ば、いや、ひょっとするともっと若いのかもしれない。見た目は明らかなメタボ体型。シャツのお腹はポッコリ膨らんでいる。ハイウエストのパンツ(ズボン?)だから、決して流行と関係ない。刈り上げの頭もそう。
「お姉さん、経塚シティーはどこねぇ」と、聞いてきたのだ。おやおや、やっぱり変だぞ。オジさん顔なのに、現実適応能力は問題がありそうだ。
「歩いていくの?」と、確かめると、「ハイ」と答える。「うーん、まず、この道を下って、大きな通り、坂道をとにかく登って、浦添警察署の方向に行くと、すぐだから、、、でも、一時間近くあるくんじゃない」と、説明しながら不安になってきた。以心伝心、いや、変な勘違いをしたのか、彼は、
「大丈夫、歩けるから」と笑う。その後が、やっぱり!だった。
「お姉さん、西原のヒト?」と聞くのだ。私は首を振る。すると、ちょっと間を置いて、
「大山の女は恐いよ」と、言いだすのだ。(大山の皆さん、ゴメンナサイ)
「エェ!沖縄の女は、大山だけじゃないでしょ、コワいのは」と、内心、ヤバイ人を相手にしているのではと緊張したが、こっちは、アヒル小屋の金網のなかなので、安全だろうと思い、好奇心から「私もコワいよ」と笑ってやった。
「ううん、でも、お姉さん、男を取って投げないでしょう、大山の女は、ホントに取って投げるんだから」
「まさか、あなたを?ねぇ、いくらなんでも、こんなに重そうなのに」と、正直に反論した。
「ううん」、真顔の顔で、彼は続ける。「ホントにホントさぁ、タンスもテーブルも椅子も投げたのに」
「へぇ、アメリカの女みたいだね、男に暴力をふるうなんて」
「うん、アメリカーみたいさぁ」
 すっかり打ち明け話の具合になってしまった。そこに、である。なんともタイミング良く、”ヒーロー”人形を抱いた自称”鬱”のKさんが姿を現した。
 (この二人の組み合わせに私は正直いつきあいきれない)
 私 は大山 の女のいきさつを話し、トウモロコシの苗を植え込みながら、少し離れた所から二人の会話を盗み聞きした。
「沖縄の女はそんなにしないでしょう」とKさんは抗議をしている。
「ううん、アメリカーより暴力するし、中国の女より執念深いさぁ」
「いくらなんでも、アンタ、アンタの方が弱すぎるんじゃない」
「ううん、中国の女みたいに、手も足もチョン切って、大甕に入れるってさぁ」
「まさかぁ、いくらなんでも」
「ううん、大山には、豚小屋もあるから、そこにぶちこむんだって」
 二人の会話はお笑いのようだが、実際の場面では、二人とも真顔で緊張している様子なので、
「ねぇ、経塚シティーまで歩いて行くんでしょう、早くしないと」と、会話に割って入った。
彼はすぐに反応して、
「もう行こうね、仕事の面接があるから」と、そして、「バイ、バァーイ」と、手を振りながら足を向こうに進めて行った。Kさんも手を振っているので、彼は振り返り、また振り返りながらやがて後ろ姿を残し消えていった。
 残された形のKさんに、私は
「女のヒステリーは、憎い女を手足を切って、甕に首まで埋めるけどさ、中国では、アヒルを食べる時、肉を軟らかくするために、首まで土に埋めて一カ月餌だけあげるんだって」と脅かすと、
「アキサミヨー」と、見事に叫んでいた。
 そして、二人して、アヒルたちを眺めていた。
大山の女は恐いよ



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Posted by あひる日和 at 22:30│Comments(0)動物
 
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