あひる日和

　「今日、来るの、不安だった」と、人形を抱いたＫさん。私がプレゼントした帽子を被っている。でも、ちょっと違和感、白いおしゃれな帽子なのに、彼女のいでたちは、寝間用の安価なサマードレス、人形だけは、ファショナブル、青のストライプシャツに、私が縫った青いよだれかけ。
「分かる、分かる、実は、私も、ドキドキしながら、小屋をのぞいたら、やっぱり、最後の一羽、消えているのよ、どうしたんだろうね、この小屋の殺戮、誰が、犯人だろう」
「母親、このチビが連続殺人、連続殺戮犯、だと思う」
「え？だって、あなた、泥棒説、だったでしょう」
「あれは、最初に生まれた兄弟たち、ほら、ひと月たった、白くなり始めた生きる力があるものを、盗んだのよ、でも、今回は、生まれて一週間目、４羽、消えて、翌日、二羽、減って、そして、すべて今日、消えちゃった、きっと、いじめられアヒル、みにくいアヒルの子の仕業、チビアヒル、鬱、入ってるのよ、やっぱり」
「ひぇ、アヒルも鬱なの」と、私は首をかしげる。彼女に言わせると、総理も、ホリエモンもそうだ。
　元気が出ないので、人形のよだれかけに、リュウジンマブヤーを縫いつけた。